2018年8月5日、中国南京で決勝が行われた。世界バドミントン、桃田選手が嬉しい優勝を果たした。
相手は石宇奇(SHI YUQI)選手、22歳の若手プレーヤーで桃田選手より1歳年下。21-11、21-13の圧勝だった。
目次
完全アウェイで戦った桃田選手
とにかく今回の決勝で一番驚いたのは、桃田選手が完全アウェイの中で、すばらしいパフォーマンスをしてくれた、ということだった。
とにかく中国選手への声援がものすごいのだ。
石選手がスマッシュを決めると何も聞こえないぐらいの拍手と声援、逆に桃田選手が同じスマッシュを決めると、パラパラとほんの少人数の拍手。
差がありすぎる。
完全アウェイだったのだ。
守りの桃田選手、攻めの石選手
1セット目は中盤までほぼ互角だった。
しかし少しずつ桃田選手のほうが上になり、差が広がっていった。
その原因は、桃田選手の守りの固さだ。
石選手の渾身のスマッシュは、ほぼ半分ぐらいの確率で拾う。
また、右に左にロビングとヘアピンを繰り返し、石選手のミスを誘う。
そして実際にそれが効いたようで、石選手のミスが頻発した。
しかし、石選手は時々甘くなる桃田選手のロブに対して、すかさずスマッシュ。
そして割れんばかりの拍手と声援。
しかし桃田選手はそれに崩れることはなかった。
石選手は振られ続けるとミスを出すということを1セット目で桃田選手は確認しているようだった。
後半、石選手はミスを連発した。
ロビングがラインを超えることが多くなり、桃田選手の8割程度で打つスマッシュも拾えなかった。
1セット目は長いラリーもなく、21-11で桃田選手があっさり勝利した。
2セット目 ギアをあげた二人の戦い
1セット目でだいたいのお互いの手の内は見えたはずだ。桃田選手は無理をせず、相手を身ながら前後、左右へのロビングとドロップで長いラリーを意識した戦い方だ。
いっぽうで石選手は、チャンスがあれば積極的にスマッシュを決めにいこうとする。
決めにいくスマッシュは、半分ぐらいの割合でミスと桃田選手に拾われる、という感じで、なかなか決められない。
それでも決めた時は、サイドラインぎりぎりに決まるなど、良いところに決まっていた。
中盤までは桃田選手のクロスのスマッシュがよく決まり、石選手は一度も拾うことができなかった。
桃田選手は、石選手がバックレシーブが苦手、という情報をインプットした。
しかし点数はそれほど開かず、1-2点差程度で桃田選手がわずかにリードしているという状態。
しかし、その点数差はほぼ石選手のミスだ。
その後石選手は、リズムを変えたり、パターンを変えたりしながら必死にくらいついていた。
桃田選手がリードした状態で、11対7で後半戦に入った。
2セット目後半、さらに激しい戦いとなる
石選手は明らかにギアをひとつあげた。
いままでと確実に変わり、かなり速いペースで試合を進めていった。
しかし決めにいったスマッシュがことごとく桃田選手に拾われてしまう。
少しずつ焦っていく石選手。
早い段階で決めにいこうとしたスマッシュがネットにひっかかってしまう。ほぼ自爆状態に陥りそうになってきた。
14-8まで差が広がる。
その後も石選手のミスが続く。高くあげたロブがラインを越えてしまう。
クリアもラインを越えてしまう。焦っているのか、大きくコートを使いたいという気持ちがミスを誘うのか、緊張しているのか。
桃田選手が決めにいくよりも、自分のミスで桃田選手を楽にさせているような感じだ。
また長いラリーをいやがり、無理をしてしまう。それがさらにミスを誘う。
17-9まで差が広がる。
試合終盤戦、桃田選手は相手の嫌がる場所へ何度も攻撃、焦る石選手
そしていよいよ試合は終盤に入る。
石選手は、ミスをするたびに首をうなだれたり、なんで?、というように首をひねったり。
ミスをするたびに何度もコーチ、監督の方を向いていた。
最後のあがき。相手はコート左右に桃田選手を揺さぶる戦法できた。
それによって桃田選手もミスをしてしまう場面もあった。
しかし最後になってもバックへのスマッシュを何度も打ち、相手の弱点をついていた桃田選手。
やりすぎか、と思うぐらいバックのコーナーにスマッシュを何度も打つ。
しかしさすがの桃田選手も2回ほどミスをしてしまう。
石選手もなんとか拾おうとするが、拾えた時でもあまり良いところに返らない。
そして最後は桃田選手のドロップがネットインして、21-13で勝利した。
完全復活は過去、さらに高みをめざす桃田選手
桃田選手は今回の勝利を、「この勝利は一人で勝ち取ったものではない。まわりの人たちの協力があってこそ」と語っていた。
今回の勝利でマスメディアは、2年前の違法賭博問題から完全に復活、というような論調で報じているが、それはちょっと違う。
彼が完全復活したのは、2017年春に謹慎が解かれて初めて戦ったランキングサーキットでの優勝だ。
あの時すでに彼は完全復活しており、2017年12月に日本代表になってから、大きな国際試合で試合勘を取り戻しながら、自身のスキルを磨いてきているのだ。
次はアジア大会での団体と個人での優勝を目指す。ガンバレ、桃田選手。
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