井川里美さんをご存知だろうか。
2000年のシドニーオリンピックの代表選手だ。今でもバドミントン講座や合宿などで日本国中を飛び回っている、2017年現在39歳の女性である。
かつてのオリンピック選手で、今でも一般社会人や学生に対して熱心に指導している人は少ない。
その数少ない人の一人が彼女だ。
実は自分も井川さんから直接指導を受けたことのある一人だ。
彼女のサイトを訪ねてみると、彼女自身の本音を読み取ることができる色々な記事が掲載されている。
その中のひとつに、本当に強い人とは?という題名での記事がある。
彼女はこんなことを言ってくれた。(若干、はしょっています。)
『強い人とは常に環境に順応できる人。
その時のプレイ、相手に対応できる人。
今の位置よりも常に進化し続ける人。
それが本当に強い人だと思う。』
我々が、強い人は?と言う時、たとえば技術力がすごい人とか、体幹がしっかりしている人、とか、決してあきらめない人、とか、集中力を切らさない人、とか、そんなことを言いがちだ。
ところが、彼女の考えでは、強い人とは、相手に対応できる人、そして進化し続けることができる人、が本当に強い、と言うのだ。
これは、非常に重要なことを言っている、と思う。
彼女はさらに、こういった強い人に勝てるチャンスがあるとしたら、こういうことだろう、というヒントを我々に伝えてくれた。
井川さんはこう言う。
『強い人と同じこと、もしくは強い人の考えている範囲内の事しか出来ないから負けてるだけなんです。
でもこの範囲から一歩飛びだす事が出来れば、その壁を崩すっていうのはいくらでも出来ると思います。』
このことがとても重要なことなのだ。
なぜかというと、これらを自分のこととして考えた時、ひとつの答えが出てくるのだ。
これからバドミントンをやっていく上でさらに自分が強くなるためには、相手の癖や相手の試合の進め方に対して、自分をいかに合わせていくかを常日ごろから考えて試合していくこと、そして常に進化し続けることである、と言うことができる。
そして、強い相手に対して、その人が考えている以上に自分が考え、そして行動することなのだ。
もっと具体的に言うと、たとえば普段のトレーニングで、その強い人は、毎日素振りをやり、毎日部屋で柔軟トレーニングをやっているとしよう。
でも自分が強くなろうと思ったら、それだけじゃ足りないのだ。
強くなろうとしたら、強い人のまねをしているだけではだめなのだ。
だからたとえば、コントロール力を高めるために、シャトルを壁の1点の同じところに何度もぶつけてみるような練習をしてみよう、というような新たなな発想をし、考え、そしてそれを実際にやってみる、というようなことだ、と自分は理解した。
常に、強い人がやっていない、それ以上のことをやってみるのだ。
ライバルが普段やっているトレーニングの、それ以上のことをやる、もしくは、それ以上の精神力をつける、それ以上の人間力を身につける、というようなことだ。
これがいわゆる、進化し続ける、ということなのだ。
そうすると、たとえば女子ダブルスの高橋松友選手が、長い期間にわたって世界ナンバーワンの座にいる理由がよく理解できる。
彼女たちは、トップに甘んじることなく、常に進化し続けようとしているから、トップなのだ。
大人バド部のみんな、強くなるために、進化し続けよう。弱い人は、進化しない人だ。
コメントを残す