全日本レベルのトレーナーに教わる
先日、バドミントン・トレーナーとして実業団の海外遠征や全日本総合などに帯同されている方に直接指導していただく、という幸運に恵まれた。
なんとか上級レベルになりたいと思っていても、ただ練習しているだけでは伸びが鈍化する。初級から中級レベルまでは、練習量を増やしていけば、なんとか人並み程度には打てるようになるが、中級~中上級、中上級から上級レベルに上げていくには、ただ練習量を増やすだけでは限界がある。
それは、それぞれのショットを正確に打てるとか、試合慣れするとか、その程度ではダメだということだ。
じゃあ、何が必要かというと、精神的な面も大きいだろうし、正しい身体の動かし方という基本中の基本を見直す必要も出てくる。
さて、トレーナーのA氏は、バドミントンをする者にとって、優れたバドラーの条件とは何だろう。と聞いてきた。
もちろん、即答なんかできっこない。
優れたバドラーの条件とは
「優れたバドラーに必要な要素は3つだ。」
「まずひとつ目は、重心軸が真ん中にあること。そこから動かないこと。」
やっぱりな。重心が真ん中にあれば、どんなショットが来ても正しく打つことができる。ぶれることがないのだ。
「次に、思ったとおりのコースにちゃんとショットを打てること。」
これは最初の要素を呼応しているだろう。重心が安定しているからこそ、思ったとおりのコースに打つことができるのだ。
もし思ったとおりの場所に打つことができなければ、ミスになってしまう。自分の狙った位置と実際の位置がずれていたら、そのギャップを埋めなくてはいけない。
「そして3番目は、修正能力だ。」
なるほどね。これは二番目の要素の正しいコースが、そうでなかった場合、すぐさま試合中にその修正をしなくてはならない。その修正能力がるあかどうか、ということだ。
つまりこの3つの要素は全部密接に関係しあっている。
レベルアップするためのトレーニングを教わる
この要素を理解した上で、様々な基礎トレーニングを教わった。
やったことは、どれも本当に単純なものばかり。しかし普段おろそかにしているトレーニングや、やっていないことだらけだった。
たとえば、首をよく回せるようにするトレーニングとして、うつ伏せに寝て上半身だけを起こし、首を左後ろ、右後ろ、上、下に曲げるような、いつでもやるような単純なトレーニングを行った。
しかし、肩や肩甲骨を動かさないように意識して首だけを左右前後に回していると、しばらくたつと、驚くほどよく首が後ろに簡単に動くようになるのだ。いや、これには驚いた。
また、安定した腹内圧を保つための軽い片足ジャンプを行う。これは片足で、約30cm間隔に置かれたシャトルの上を飛び越えるという、運動量としてはそれほどきつくないものだ。しかし、これを何度も何度もやっていると、じきに足首がふらついてくる。
このトレーニングは、どんなに長時間やっても、このふらつきをなくすことが目標だ。
このように単純ではありながら普段自分たちが見過ごして行っていなかったようなトレーニングを次々と教えてくれた。
腕の力を付けるためにダンベルの上げ下げをすれば筋力がつく、股関節を広げるトレーニングをすれば柔軟性が高まる。素振りをすればフォーム固めに役立つ。
それは誰しも行っていることだし、誰でもそれらのトレーニングが大切だと思っているだろう。
しかし、単純なジャンプや首の上下運動がもっとも大切なトレーニングだ、とはほとんどの人が思っていない。
だからおろそかになる。自分もそうだ。いや、そうだった。
さらに呼吸法が上達のカギ
そして呼吸だ。
やっぱり呼吸は大切なんだ、ということを改めて感じた。
サッカー選手もテニス選手も野球選手も、プロは必ず呼吸法を大切にする。やり方は様々だろうが、呼吸法をおろそかにしていては、さらなるレベルアップは望めない。
トレーナーのA氏も、呼吸法がいかに大切かといういことを繰り返し話してくれた。
自分は、A氏から「呼吸は何より大切~」という話を聞いて即座に、ミスボンシデク氏を思い出してしまった。
かつて、ミスボンシデク氏が日本にやってきて、日本の中学生にバドミントンを指導した時、彼がやはり口にしていたのが、この呼吸法だった。
「やっぱりな。呼吸法をマスターすれば、さらにレベルアップすることができるのは間違いない。」
自分は心の中で、そうつぶやいた。
[su_note note_color="#e1fca7"]大人バド部のみんな
単純なトレーニングにこそ、上達のカギが潜んでいる。
重心を中心にもっていけるようなトレーニング、自分が思ったところに思ったように体を動かせるようなトレーニングを大切にしよう。
さらに呼吸法も自分なりに研究していこう。
それらを行うことでさらなるレベルアップが臨める、と自分は確信している。[/su_note]
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